« ケーブルつながってないやん! | トップページ | 黄昏のビギン »

2010年3月16日 (火)

ギターアンプ改造計画

20100316circuit

「僕のJC-77。これで残留ノイズが少なければ、素晴らしいんですけどねぇ…。」
「そうですねぇ。確かにかなりの量がありますね。太田さん、改造すれば?」
「あっ!そうか。きっとICを替えるだけですからね。」

そんなレコーディングでの会話をさっき思い出して、休憩がてら回路図を引っ張り出しています。1984年設計だけあって、何と古典的な回路だこと。出力段は「準コンプリメンタリPP」です。ビデオ系でよく使う「低電流負荷エミッターフォロワー」ではありません。こんな回路、性能の良いPNPトランジスタが豊富にある今は、誰も使わないでしょうね。

パワーアンプの入力はバイポーラトランジスタの差動回路。アイドリング電流が大きいと1/fノイズが気になりますが、ここの設定は約0.4mA。ノイズが気になるほどではないはずです。そうすると、問題はその前。オペアンプの類です。

どうやらこのアンプの設計者は、Fenderなどの真空管アンプの設計手法を、そのままトランジスタアンプに移植した形跡があります。トランジスタアンプとしては、回路のインピーダンスが無駄に高すぎる。だから、バイポーラー入力のオペアンプのNFが上がり、残留ノイズが気になるものと推測します。
「じゃあ、FET入力のオペアンプに替えれば?」
無論、そのような改造をする予定です。しかし、一応メーカーの弁護を。

この時代はまだFET入力のオペアンプが高価な時代。ギターアンプやエフェクターなども、やや強引にバイポーラー入力のオペアンプで設計されていました。だから、市販のエフェクターの入力インピーダンスは470kΩが多いのです。本来は真空管ギターアンプと同様に1MΩとすべきですが、ちょっと設計に無理が生じるので、当時の苦肉の策でしょう。

今、こんなアナログ回路をまともに設計しようと思ったら、ICメーカーに行くしかないでしょう。その位、製品の中でのディスクリート回路の部分は減ってしまいました。元来、アナログ回路屋の僕にとっては寂しいことです。けれど、ミュージシャンをしながら、ひそかに回路を組んで自分の機材を作ったりメンテしたりすることに、楽しみを見い出しています。

ただひとつ、気がかりなことがあります。この音響の世界、迷信が多すぎる。
「やっぱりオレンジドロップは良いよね!」
とか、
「ビンテージの線材を使うと渋い音になるんだよ!」
とか。そんなワケはありません。電気回路は、すべて電気的特性だけで性能が決まります。オレンジドロップが良いのは、あくまでもポリプロピレンコンデンサゆえの過渡特性と精度の良さであり、他のコンデンサでも安価に同等のものはあります。オーディオ用電解コンデンサも、箔の低倍率ゆえの高ラッシュカレント耐性や周波数特性の良さであったりするわけです。

だから、ブランドに惑わされてはいけない。ちゃんと勉強さえすれば、良い物は安価にできるのですから。

なーんて、回路図を見ながらうんちくを言っている時が一番楽しいんですよ。まったく。

|

« ケーブルつながってないやん! | トップページ | 黄昏のビギン »

コメント

こんにちは。

全く太田さんのおっしゃるとおりだと思います。

良く配線材のビンテージ品だとか、コンデンサとかに薀蓄付きで販売されているようなものがありますが、私も完全否定はしませんがコンデンサや配線だけで50年代や60年代の音が出せるとは思いません。

要は木部、塗装部、接着部、ピックアップなどの電気回路部全てが経年変化している効果がビンテージ品であり、これは時間が与えたもうた自然現象であると思っています。

それにしても電気音痴の私にはまるで数ⅡBか数Ⅲの教科書に出てくるようなお話。解りませんけど回路図を見るのはきっと楽しいことでしょうね。私が内燃機や車の透視図を見るのと同じように。

投稿: Deric | 2010年3月16日 (火) 09時42分

Dericさま
まいどです。
そうか!Dericさんはクルマ関係の方なんですね。
クルマもそうですが、楽器も結局は弾き手が勝手に好きな音を作ってしまいます。だから、あまり微に細にこだわっても…というのが、僕の持論ですね。
とはいえ、ノイズは弾き方ではどうしようもないので、改造してみようかなと。

投稿: うたもの | 2010年3月18日 (木) 00時19分

JC-70 JC-90 JC-120 共にプリアンプの回路は同じです。
基板のパターンを解析しますとアースラインのループがかなり見られます。
又、信号線の引き回しが長いです。これが音抜けが悪かったりハムや内部ノイズの多い原因となっております。
ブロック毎にパターンを切り離し回路を再構築する事で全く別物の音に変化します。
レコーディングに耐えるだけのローノイズになります。コーラス回路の影響も大きいです。ディストーション回路はオマケ程度ですが当時の単品のエフェクターと同じ回路を採用しています。
プリ部のICは廃品種なのですが探せばまだ有ります。
スピーカーもジェンセン等好みの音がする物に交換するのも良いです。
メインアンプ部は基本的には問題ありません。

投稿: S.O | 2019年1月28日 (月) 10時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ケーブルつながってないやん! | トップページ | 黄昏のビギン »