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2008年8月17日 (日)

労働は、美学だ。

080815megurogawa

例えば、渋谷駅東口。

奥まったマクドナルドで、ビックリするほどの笑顔と、決して押し付けがましくない柔らかい接客をしてくれるアルバイトの子。しかも、ネームプレートには韓国姓とおぼしき名前。もちろん、ファーストフードだからあまり底の深い接客は出来ないですが、カウンター越しの限られた時間の中での完璧な接客態度。いやぁ~恐れ入ります。

こういう人を見てしまうと、たとえ日本での労働の目的がどうあれ、最近流行の(懐の浅い類の)ナショナリズムなんてクソ食らえと思ってしまいます。同時に、ともすると生産よりも消費が先にある現代の生活スタイルに、非常な疑問を抱きます。

一方、僕のように製造業出身の人間は、「人間=コスト」という考え方がついつい身に付いてしまっています。恥を忍んで告白すると、特にアジアの人々を見た瞬間、無意識に頭の中で自分より安いであろう人件費のそろばんを弾いてしまう悪しき習慣がまだ抜けない。彼女の完璧な接客は、そんな病んだ僕の頭に、強烈な一撃を食らわすのです。

「私の接客は、そんなモノサシで推し量られるものではない!」

あまり美化するつもりは無いけれど、そんな主張すら聞こえてくるような気がするのです。


宮益坂交差点では、同年代と思われる女性が、毎日サンドイッチマンスタイルで満面の笑顔と共にコンタクトレンズのチラシを配っています。他にも配り手はいっぱい居るけれど、年齢/笑顔ともに異色の存在。

「もしかして、劇団員の修行バイト?」

という疑念を持ちつつ、東急の壁際の喫煙所から眺めていると、ごく稀に、顔に疲労の色をのぞかせます。で、次の瞬間、何も無かったかのように満面の笑みに戻ります。そのまた次の瞬間、妄想の中で彼女に恋している自分に気づきます(笑)。

「いや、もしかして恋ではなく、単にあわれみ?」

という汚れた自分への疑いも一瞬のぞきます。しかし、幸いそれは思い過ごしのようです。なぜならば、ぼくは確実に彼女から、ビラと同時に元気をもらっているから。

まあ、単に時給が良いだけなのかも知れません。けれども、どんな理由にせよ、40℃近い渋谷の真ん中で、40歳近い小柄な女性が一心不乱に笑顔でビラ配りをする姿は、僕の心を惹き付けるには十分です。


そんな方々に比べれば、僕の楽器移動のつらさなんて、

「なに甘えとんじゃ!!」

と思わざるを得ないのです。

そんなことをつらつら考えたりした、目黒川の橋の上にて。

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